東日本大震災の前年に、「日本の精神保健医療が根本的に見直され、国民のこころの健康が飛躍的に増進して、希望と生き甲斐のある生活がすべての国民のうえに実現する」ための精神保健医療改革の提言書がとりまとめられました。その取り組みが、「こころの健康政策構想会議」とそれに続く「構想実現会議」でした。「こころの健康基本法」の制定を求める署名は72万人分余にのぼり、その請願は357の自治体議会で採択されました。

 

取り組みの全体像は、雑誌『臨床精神医学』2011年1月号の特集「わが国の精神保健・医療改革の展望-こころの健康政策構想会議の提言をめぐって」の原稿9編・コラム4編と、書籍『こころの健康社会を目指す』にまとめられています。「精神保健・医療改革の…行く手を照らす灯台…実現を導いた先導者」という言葉は、取り組みの意気込みを示す「はじめに」の文章です。

 

その後の厚生労働省の施策では、例えば精神保健福祉法の「日常生活を営む上での精神保健に関する課題を抱えるもの」という表現にみるように、「国民のこころの健康」という提言の理念が取り入れられているのを見ることができます。

 

この会議の代表を務めた岡崎祐士先生の思いを、別項「ゆるキャラ精神科医が語ったこれからの精神医療」でご紹介しました。あわせてご覧ください。