本特集では、初期研修医が病棟、外来、当直等で、精神疾患を持つ患者さんやそのご家族に対応する場面を想定して章立てを組みました。統合失調症の臨床や研究について、これまでの医学雑誌の特集のような、すでに明らかになっていることを、専門家が医師や研究者に向けて解説するのではなく、「重要だが解明されていないこと」を明示し、しかも「それが解明されていない理由」を含めて解説する、しかし「分かっていないことを分かっていないと潔く認めたうえで、今すぐできることは何かを明示する」という、これまでの常識を覆す特集を目指して編集しました。
そのために、もう一つ、こうした医学雑誌の特集としては常識破りな手段を必要があって採りました。当事者・家族・市民の立場の方と専門家が共著となって執筆する形式をとらせていただいたことです。こうした、patient-public involvement(PPI)やco-productionと言われるプロセスを経ることで、専門家が自分たちの「暗黙の前提」を見直すきっかけとなります。本特集では、その企画の段階から、当事者家族や市民の立場の方々、専門家が一堂に会し、暗黙の前提を覆す問いを投げかけていただきました。
このような これまでの常識を覆す 特集となってしまいましたが、出版社の(株)ライフ・サイエンスもこれまでの常識を覆す対応をして下さいました。
なんと、特集部分の全文のPDFのウェブ公開を許可してくださったのです。もちろん著作権は出版社にあり、これを侵害するような行為は厳にお慎みください。
東京大学医学部附属病院精神神経科 笠井清登(編者を代表して)

 

タイトル:Progress in Medicine 6月号「統合失調症 あなたはどう答えますか?」
著者:笠井清登、村井俊哉、福田正人
出版社:株式会社ライフ・サイエンス